ツルゲーネフの 『初恋』

父は、私が生まれた時、世界文学全集と日本文学全集を買ってくれました。
絵本じゃないところが、何とも父らしい (いつになったら読めるんだ、という突っ込みは無し)。
だから、この話を読んだのは、小学校の高学年のとき?

幼い女心(=私)さえときめかせてしまう良い男(語り手の「父」)と、鞭で打たれる父の恋人。
恋ってこんな理不尽なことが起こるんだ、とだけ覚えていました。

「『初恋』って、お父さんがすごく若い女性に恋して、その女の人が鞭で打たれる話でしょ?」って話すと、
この感想は、とっても珍しく、しかも、物語の核心をついているらしい…
と、専門家に指摘され、もう一度この本が読みたくなりました。

40年ぶりに読み直してみると、今度は「母」に惹かれます。
魅力的な男性「父」は、お金のために10歳年上の女性(「母」)と結婚します。
だから、母は、いつもなんだか不機嫌で、子供(=主人公)のことにはあまり関心がない。
彼女の中心は、「父」。

普通、文学作品の設定では、男女逆なのでは?
若くて美しい少女が、お金のためにおじさんと結婚する。
おじさんは絶えず嫉妬に苦しめながらも、同時に、こんなに素晴らしい女性と結婚できた自分を幸せに思うから、奥さんには心底頭が上がらない。
家庭の中心は、いつも美しい妻。
でも、その妻には実は恋人がいて、ばったり再会、関係が復活してしまう。
そのうち、恋人が、事業が失敗するかなんかで、窮地に陥り、
恋人を救うため、「妻」はお金の無心を夫にして、そのまま亡くなる…
なんて、設定。

10歳年上の母が、父の恋人に(たぶん)大金を送る。
お金の無心をした父が「attaque」で死んでその後に。

母、かっこいいぞ。
なんか、陳腐な物語の逆バージョンになると、こんなに新鮮なんだ。
この物語は、実は母の「初恋」なのかな。
お金でしか好きな男性の心をつなぎとめられなかった悲恋。

ところで、attaqueって、「卒中」って訳されるのが普通なんですけど、いったい何の攻撃だったんだろう…
母からの非難攻撃で、死んだのかもしれない。

この話は、謎だらけで、読み手の解釈次第で、幾通りもの話が作れてしまうところがあります。
おもしろい。
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by take_velo | 2010-08-02 09:04 | つれづれに思うこと | Trackback | Comments(0)

テニス・ボクシングのことを中心に思うことをつづってます。Pコーチはプライベートコーチの略、SPコーチはシングルスプライベートコーチの略です。長ったらしくなるので。


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